前回の記事では、
第4ステップ 最終的な職場復帰の決定についてご紹介しました。
事業者が職場復帰を決定した後も、支援が終わるわけではありません。
実際には、職場復帰後に体調や業務遂行能力の変化がみられたり、
予定どおりに勤務を続けられなかったりすることもあります。
このため、職場復帰後も継続して状況を確認し、
必要に応じて支援内容を見直すことが重要です。
この記事では、厚生労働省の
「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(以下「手引き」)に基づき、
第5ステップ 職場復帰後のフォローアップについて、分かりやすく解説します。
ポイント
この記事のポイントはこちらです。
- 職場復帰後も継続的にフォローアップを行う
- 勤務状況や治療状況を確認しながら、職場復帰支援プランや就業上の配慮を見直す
- 再発予防に向けて、職場環境の改善や職場全体で支える体制を整える
なぜ職場復帰後のフォローアップが必要なのか
心の健康問題では、職場復帰の可否の判断や職場復帰支援プランの作成において、
すべてを予測することは困難です。
また、十分な準備を行って職場復帰した場合でも、
- 予定どおりに業務へ戻れない
- 体調が再び不安定になる
- 新たな職場での課題が見つかる
ことがあります。
このため、職場復帰後の経過を継続的に確認し、
必要に応じて職場復帰支援プランや就業上の配慮を見直すことが重要です。
フォローアップでは何を確認するのか
手引きでは、次の事項を中心に確認することが示されています。
疾患の再燃・再発や新たな問題がないか確認する
まず重要なのは、体調の変化や再燃・再発の兆候を早期に把握することです。
管理監督者による日常的な観察と、事業場内産業保健スタッフ等による面談を
組み合わせながら、早めの対応につなげます。
勤務状況と業務遂行能力を確認する
職場復帰後は、実際に業務を継続できているかを確認します。
例えば、
- 出勤状況(遅刻・早退・欠勤の有無)
- 疲労の程度
- 業務遂行能力
- 就業上の配慮の効果
などを確認します。
本人の自己評価だけでなく、
管理監督者からの客観的な評価も踏まえて確認することが重要です。
また、想定以上に欠勤や体調不良が続く場合には、
事業場内産業保健スタッフ等が面談を行い、主治医とも連携しながら対応を検討します。
職場復帰支援プランが予定どおり実施されているか確認する
作成した職場復帰支援プランが、実際に計画どおり実施されているかを確認します。
予定どおり実施できていない場合には、
関係者で話し合い、必要な調整を行います。
治療状況を確認する
職場復帰後も、治療が継続されているかを確認します。
例えば、
- 定期的に通院しているか
- 自己判断で治療を中断していないか
- 現在の病状や今後の見通しについて、主治医からどのような説明を受けているか
などを確認します。
必要に応じて、本人の同意を得た上で
主治医と情報共有を行い、就業上の配慮の見直しについて意見を求めます。
職場復帰支援プランの評価・見直し
フォローアップでは、現行の支援内容が適切かどうかを評価します。
例えば、
- 就業上の配慮を継続するか
- 配慮内容を変更するか
- 通常勤務へ戻せるか
などを関係者で検討します。
必要に応じて職場復帰支援プランを見直しながら、無理のない就業につなげることが大切です。
職場環境の改善を検討する
再発予防のためには、職場環境を継続的に評価し、必要に応じて改善します。
例えば、
- 長時間労働や突発的な時間外労働の改善
- 業務内容や作業方法の見直し
- サポート体制や仕事の進め方の見直し
- 能力や適性、人間関係を考慮した人員配置
- 作業環境の改善
などを検討します。
職場環境の改善は、職場復帰した労働者だけでなく、
管理監督者や同僚を含めた職場全体のメンタルヘルス対策にもつながります。
このため、職場復帰をきっかけとして職場環境を見直し、
必要に応じて継続的な改善につなげていきます。
職場全体で支える体制を整える
円滑な職場復帰を支えるためには、
労働者本人だけでなく、周囲の支援体制を整えることも大切です。
例えば、
- 管理監督者や同僚に過度な負担が集中しないよう配慮する
- ラインケアやセルフケアに関する教育・情報提供を行う
- 職場復帰支援への理解を深め、相談しやすい職場づくりを進める
- 必要に応じて、本人の同意を得た上で家族への情報提供や相談対応を行う
などの取り組みが考えられます。
また、管理監督者は、
労働者の焦りや不安に耳を傾け、健康の回復を優先しながら、
問題が生じた場合には早めに相談できるよう支援することが望まれます。
フォローアップの期間とその後の対応
フォローアップは、あらかじめ期間の目安を定め、
その期間内に通常の勤務へ戻すことを目標として進めます。
病状や回復状況には個人差があるため、
主治医とも連携しながら、病態や病状に応じて支援内容等を適宜見直します。
また、フォローアップ期間が終了した後も、
心の健康問題は再燃・再発する可能性があります。
このため、
- 就業上の配慮が引き続き必要か
- 職場や仕事内容の変更による影響はないか
- メンタルヘルス対策を継続できているか
などにも留意し、再発予防の視点を持って継続的に対応します。
中小企業ではどのように対応する?
中小企業では産業医等がいない場合もあります。
このため、管理監督者や人事労務担当者を中心に定期的な面談や状況確認を行い、
必要に応じて地域産業保健センターなどの外部資源を活用することが大切です。
まとめ
職場復帰は、職場へ戻った時点がゴールではなく、
その後も安心して働き続けられるよう支援を継続することが重要です。
勤務状況や業務遂行能力、治療状況などを定期的に確認し、
必要に応じて職場復帰支援プランや就業上の配慮を見直すことで、
再燃・再発の予防につながります。
また、職場環境の改善や管理監督者・同僚への支援、心理的なサポートも含めて、
職場全体で継続的に取り組むことが、安全で安定した就業につながります。
次の記事では、
職場復帰支援における関係者の役割とは?|管理監督者・産業医・人事労務担当者の連携
について解説します。
職場復帰支援を円滑に進めるために、
それぞれの関係者が担う役割と連携のポイントを整理します。

