前回の記事では、事業場内産業保健スタッフ等によるケアについてご紹介しました。
メンタルヘルス対策では、事業場内だけですべての課題に対応できるとは限りません。
専門的な知識や支援が必要な場合には、医療機関や産業保健総合支援センター、
地域産業保健センターなどの事業場外資源を活用することも大切です。
この記事では、厚生労働省の
「労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」に基づき、
事業場外資源によるケアの役割や、活用できる主な機関、連携のポイントについて
分かりやすく解説します。
ポイント
この記事のポイントはこちらです。
- 事業場外資源によるケアとは、
外部の専門機関や専門家を活用してメンタルヘルス対策を支援する取り組み - 医療機関や産業保健総合支援センター、地域産業保健センターなどと連携することで、
専門的な支援を受けることができる - 事業者が主体となり、事業場内産業保健スタッフ等や事業場外資源と連携しながら、
メンタルヘルス対策を進める
事業場外資源の主な役割
事業場外資源は、事業者や管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等を支援し、
必要に応じて専門的な助言や支援を行います。
専門的な相談・助言
専門的な知識が必要な場合には、
外部の専門機関へ相談することで、適切な助言を受けることができます。
相談内容の例
- メンタルヘルス対策の進め方
- 職場復帰支援
- ストレスチェック制度
- 労働衛生管理
- 健康づくりの取り組み
主な相談先
- 産業保健総合支援センター
- 地域産業保健センター(50人未満の事業場)
※産業保健総合支援センターと地域産業保健センターは、
事業場の状況や相談内容に応じて連携して支援を行っています。
医療機関との連携
労働者に心身の不調が疑われる場合には、必要に応じて医療機関への受診につなぎ、
適切な治療を受けられるよう支援することも重要です。
例えば、
- 精神科・心療内科など専門医療機関への受診
- 治療と仕事の両立支援
- 主治医との連携
- 復職に向けた支援
などが挙げられます。
外部相談窓口の活用
労働者の中には、会社や上司には相談しづらいと感じる人もいます。
このような場合には、労働者が外部相談窓口を利用できる体制を整えておくことで、
早期相談や早期対応につながります。
例えば、
- 精神保健福祉センター・保健所などの公的な相談機関
- 地域産業保健センター
- 外部相談窓口(EAP※)
※EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)は、
企業が活用する外部専門機関による、労働者向けの相談・支援サービスです。
などがあります。
事業場内との連携
メンタルヘルス対策は、事業場外資源だけに任せるものではありません。
事業者を主体として、事業場内産業保健スタッフ等が窓口となり、
必要に応じて外部機関と連携しながら進めることが重要です。
例えば、
- 必要な情報提供を受ける
- 専門的な助言を受ける
- 必要時に医療機関へ紹介する
- 日頃から地域とのネットワークを構築する
などが挙げられます。
活用できる主な事業場外資源
| 事業場外資源 | 主な役割 |
|---|---|
| 地域産業保健センター | 50人未満の事業場への産業保健支援、健康相談など |
| 産業保健総合支援センター | 産業保健に関する専門相談、研修、情報提供 |
| 医療機関(精神科・心療内科など) | 診断・治療、職場復帰支援 |
| EAPなど外部相談機関 | 労働者への相談支援、カウンセリング |
| 保健所など地域保健機関 | 健康相談、地域の保健サービス |
特に50人未満の中小企業では、必要な事業場内産業保健スタッフの確保が難しい場合は、
地域産業保健センターなどの支援を活用することが効果的です。
活用する際のポイント
事業場外資源を活用する際には、次の点に注意することが大切です。
- 個人情報が適切に管理されていること
- 専門性や支援体制が整っていること
- 必要な場合に速やかに連携できること
- 事業者が主体となってメンタルヘルス対策を進めること
まとめ
事業場外資源によるケアは、事業場内だけでは対応が難しい課題に対して、
専門的な支援を受けるための重要な取り組みです。
特に中小企業では、地域産業保健センターをはじめとする事業場外資源を活用することで、
無理なくメンタルヘルス対策を進めることができます。
事業者が主体となり、事業場内産業保健スタッフ等や事業場外資源と連携しながら、
継続的なメンタルヘルス対策を進めていきましょう。
次の記事では、メンタルヘルス対策の取り組みの一つである、職場環境改善について、
働きやすい職場づくりを進めるための考え方や具体的な取り組みを解説します。

