前回の記事「ストレスチェックを外部委託するには?|委託先の選び方と注意点」では、
ストレスチェックを外部機関に委託する場合の委託先の選び方や、
事前に確認しておきたい内容について解説しました。
実施体制や実施方法、外部委託する場合の委託先などが決まったら、
労働者へ実施について案内し、ストレスチェックを行います。
ストレスチェックでは、労働者が安心して受検できる環境を整えるとともに、
実施後の個人結果についても、プライバシーに配慮して適切に通知・保存することが重要です。
この記事では、労働者への案内からストレスチェックの実施、結果の評価、
本人への通知・保存までの流れと、事業者が押さえておきたいポイントを解説します。
この記事のポイント
- 実施前に、実施時期や受検方法などを労働者へ分かりやすく案内する
- 労働者が業務時間中に受検できる環境を整える
- 未受検者には受検を勧めることができる
- 回答結果は、あらかじめ決めた方法に基づいて実施者が評価する
- 個人のストレスチェック結果は、実施者から労働者本人へ直接通知する
- 個人結果は、労働者本人の同意なく事業者へ提供することはできない
- 個人結果の記録は、実施者または実施事務従事者が適切に保存する
ストレスチェック実施の流れ
ストレスチェックでは、あらかじめ決めた実施方法に基づいて、
労働者への案内から結果の通知・保存までを進めていきます。
主な流れは、次のとおりです。
① 労働者へ実施について案内する
↓
② ストレスチェックを実施する
↓
③ 実施者が結果を評価する
↓
④ 個人結果を労働者本人へ通知する
↓
⑤ 必要な労働者へ面接指導について案内する
↓
⑥ 個人結果の記録を保存する
実施時期や対象者、使用する調査票、高ストレス者の選定方法などについては、
「ストレスチェックの実施方法|実施時期・対象者・調査票などの決め方」の記事で
詳しく解説しています。
ここからは、実際にストレスチェックを実施するときの流れを順にみていきます。
実施前に労働者へ案内する
ストレスチェックを実施する際には、労働者が戸惑うことなく受検できるよう、
あらかじめ実施について案内しておきます。
特に、次のような内容を分かりやすく伝えておくとよいでしょう。
- ストレスチェックの実施時期
- 外部委託する場合の委託先
- 調査票の配布・回答・回収方法
- 個人結果の通知方法
- 面接指導の申出方法
- 問い合わせ先
あわせて、個人のストレスチェック結果は本人に直接通知され、
本人の同意なく事業者へ提供されないことについても説明しておきます。
「いつ、どのように受けるのか」「結果を誰が見るのか」などを事前に伝えておくことは、
労働者が安心して受検できる環境づくりにつながります。
労働者が受検しやすい環境を整える
ストレスチェックは、紙の調査票やWebなど、
あらかじめ事業場で決めた方法によって実施します。
実施にあたっては、回答内容が周囲の人に見られないようにするなど、
労働者のプライバシーに配慮することが重要です。
紙で実施する場合には、回答済みの調査票を封筒に入れて回収するなど、
回答内容を事業場の担当者が見ることのない方法をとります。
Webで実施する場合にも、個人の回答内容や結果を閲覧できる人を適切に制限するなど、
個人情報が適切に管理される仕組みを整えておきます。
業務時間中に受検できるようにする
ストレスチェックは、労働者が業務時間中に受検できるようにします。
管理監督者にもあらかじめ実施について伝え、労働者が受検するための時間を
確保できるようにしておくことが大切です。
また、実施期間にある程度余裕をもたせるなど、
勤務状況にかかわらず受検しやすい環境を整えておくとよいでしょう。
外国人労働者がいる場合
外国人労働者がストレスチェックを受検する場合には、
質問内容を理解して回答できるよう、必要に応じた配慮を行います。
厚生労働省では外国語版の「職業性ストレス簡易調査票」も示されています。
こうした調査票を活用するなど、労働者が内容を理解したうえで回答できる方法を検討します。
未受検者には受検を勧める
ストレスチェックは、対象となる労働者に受検してもらえるよう、
事業者から受検を勧めることができます。
外部機関に委託している場合には、委託先から未受検者へ受検を勧めてもらう方法もあります。
また、事業者が委託先から「ストレスチェックを受検した労働者のリスト」の提供を受け、
未受検者を把握して受検を勧めることもできます。
この場合に事業者が把握するのは、受検したかどうかの情報であり、
個人の回答内容やストレスチェック結果ではありません。
労働者に制度の目的を説明し、できるだけ受検してもらえるよう働きかけていくことが大切です。
実施者がストレスチェック結果を評価する
労働者から回答された調査票は、あらかじめ定めた方法に基づいて実施者が評価します。
実施者は、ストレスチェックの結果から高ストレス者に該当するかどうかを評価し、
さらに、医師による面接指導を受ける必要があるかどうかを判断します。
高ストレス者の具体的な選定方法や基準については、
「ストレスチェックの実施方法|実施時期・対象者・調査票などの決め方」で
詳しく解説しています。
事業者が個人の回答内容を確認して、高ストレス者に該当するかどうかを
判断するものではありません。
個人結果は労働者本人へ直接通知する
ストレスチェックが終了したら、実施者から労働者本人へ個人結果を通知します。
通知する内容には、主に次のものがあります。
- 個人のストレスプロフィール
- 高ストレス者に該当するかどうかの評価結果
- 医師による面接指導を受ける必要があるかどうかの評価結果
また、ストレスチェックの結果をセルフケアにつなげられるよう、
結果に応じたアドバイスや相談窓口などについても案内します。
面接指導が必要な労働者には申出方法を案内する
高ストレス者として選定され、実施者が医師による面接指導を受ける必要があると
認めた労働者には、面接指導の対象となったことを知らせます。
あわせて、面接指導の申出窓口や申出方法について案内し、申出を勧めます。
面接指導は、対象となった労働者が事業者へ申し出ることで実施につながります。
申出を受けた後の具体的な流れについては、次の記事で詳しく解説します。
個人結果が周囲に分からないように通知する
個人のストレスチェック結果は、他の人に内容が分からない方法で
本人へ通知する必要があります。
紙で通知する場合には、内容が分からないように密封した封筒に入れ、
本人へ配布する方法などがあります。
このとき、面接指導の対象となった労働者だけに異なる方法で通知すると、
周囲から対象者であることを推測される可能性があります。
たとえば、全員の結果を同じ形式の封書で通知し、対象者にはその中に
面接指導の案内を同封するなど、周囲から通知内容が分からない方法をとります。
特に小規模な職場では、誰がどのような通知を受けたのかが周囲から分かりやすい
こともあるため、通知方法についてもプライバシーへの配慮が大切です。
個人結果は事業者へ直接提供されない
ストレスチェックの個人結果は、実施者から労働者本人へ直接通知されます。
労働者本人の同意なく、事業者が個人結果の提供を受けることはできません。
外部機関に委託している場合にも、個人の回答内容やストレスチェック結果が
そのまま事業者へ提供されるものではありません。
一方、医師による面接指導を労働者が事業者へ申し出た場合には、
面接指導を実施するために必要な情報を事業者が取り扱うことになります。
ストレスチェックの個人結果と、面接指導の実施に伴って事業者が取り扱う情報を
分けて理解しておくことが大切です。
ストレスチェック結果を適切に保存する
ストレスチェックの個人結果は、適切に記録・保存します。
外部機関に委託する場合には、委託先の実施者または実施事務従事者が、
外部機関の保管場所やサーバーなどで保存する方法が考えられます。
事業者が個人結果の提供を受けない場合には、実施者または実施事務従事者によって
適切に保存されるよう、保存方法や保存場所などをあらかじめ確認しておきます。
自社でストレスチェックを実施する場合にも、
個人結果を取り扱うことができる人を限定し、適切に管理する必要があります。
外部機関へ委託する場合には、結果通知だけではなく、
個人結果の記録・保存までどのように対応するのかについても確認しておくとよいでしょう。
まとめ
ストレスチェックでは、実施方法を決めたうえで労働者へ分かりやすく案内し、
安心して受検できる環境を整えることが大切です。
実施後は、実施者が結果を評価し、個人結果を労働者本人へ直接通知します。
高ストレス者のうち、医師による面接指導が必要と判断された労働者には、
面接指導の申出方法についても案内します。
また、個人のストレスチェック結果は、本人の同意なく事業者へ提供することはできません。
結果の通知や保存についても、労働者のプライバシーに配慮して適切に取り扱う必要があります。
外部機関に委託する場合には、労働者への案内や受検勧奨など事業場で行うことと、
ストレスチェックの実施、結果通知・保存など委託先が行うことを整理し、
連携しながら進めていきましょう。
次の記事「高ストレス者への医師による面接指導|申出から実施まで」では、
ストレスチェックの結果、医師による面接指導が必要と判断された労働者について、
面接指導の申出から実施までの流れを解説します。
参考資料
厚生労働省 ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策
-「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
-「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」
厚生労働省 関係法令等
-「ストレスチェック指針」

