ストレスチェックは、労働者が自分自身のストレスの状態を知り、
メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的とした制度です。
労働者が質問票に回答し、その結果から自分のストレスの状態を確認するとともに、
必要に応じて医師による面接指導につなげます。
また、ストレスチェックの結果を職場ごとに集団で分析し、職場環境の改善に活用する
ことも重要です。
この記事では、ストレスチェック制度の目的や取り組む意義、対象となる労働者、
基本的な仕組みについて解説します。
この記事のポイント
- ストレスチェックは、メンタルヘルス不調の「未然防止」を目的とした制度
- 労働者自身のストレスへの気づきを促し、必要に応じて医師による面接指導につなげる
- 集団分析の結果を活用した職場環境の改善は、努力義務とされている
- 2028年4月から、労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化される
ストレスチェックとは
ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票に労働者が回答し、その結果を集計・分析する
ことで、自分自身のストレスの状態を確認する検査です。
労働安全衛生法に基づく制度として、2015年12月から実施されています。
ストレスチェックでは、単に「ストレスがあるか、ないか」を確認するのではなく、
仕事の負担や職場の人間関係などのストレス要因、心身のストレス反応、
周囲からの支援などを確認します。
その結果を労働者本人に通知し、自分のストレスの状態に気づき、
セルフケアなどに役立ててもらうことが制度の基本となります。
ストレスチェック制度の目的
ストレスチェック制度の主な目的は、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することです。
具体的には、次のような取り組みにつなげていきます。
- 労働者が自分自身のストレスの状態に気づく
- ストレスへの対処など、セルフケアに取り組む
- 高ストレス者について、必要に応じて医師による面接指導につなげる
- 集団分析の結果を活用し、職場環境の改善につなげる
ストレスチェックは、メンタルヘルス不調の労働者を見つけることを目的とした検査
ではありません。
労働者自身への働きかけと職場環境への働きかけの両面から、メンタルヘルス不調を
予防していくための仕組みです。
ストレスチェックに取り組む意義
ストレスチェックは、労働者が自分自身のストレスの状態に気づく機会になります。
厚生労働省が令和3年度に行った効果検証事業では、ストレスチェックを受けた労働者の
約7割が、「ストレスチェックの個人結果をもらったこと」を有効だったと回答しています。
また、医師による面接指導を受けた労働者の過半数が、「対面で医師から面接を受けたこと」を
有効だったと回答しています。
さらに、学術論文や研究報告書では、ストレスチェックと職場環境改善を組み合わせて
取り組むことで、心理的ストレス反応の改善などがみられた研究も報告されています。
メンタルヘルス不調による休業は、本人だけでなく職場にも大きな影響を及ぼします。
特に少人数で業務を担う中小企業では、一人の長期休業が周囲の労働者の負担増加や
業務運営にも影響することがあります。
ストレスチェックをはじめとしたメンタルヘルス対策は、不調を未然に防ぐだけでなく、
働きやすい職場づくりを通じて、生産性の向上や人材の確保・定着などにもつながる
取り組みです。
ストレスチェックを、労働者自身の気づきや働きやすい職場づくりにつなげ、
職場のメンタルヘルス対策に活かしていくことが大切です。
ストレスチェック制度の基本的な仕組み
ストレスチェック制度は、大きく次のような流れで実施します。
実施に向けた準備
事業者がストレスチェック制度の実施方針を示し、実施方法や実施体制などを決めます。
ストレスチェックの実施
労働者がストレスに関する質問票に回答します。
質問票には、「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の
3つの領域に関する項目を含める必要があります。
結果を本人に通知
ストレスチェックの結果は、実施者から労働者本人に直接通知されます。
本人の同意なく、ストレスチェックの結果を事業者に提供することはできません。
高ストレス者への面接指導
ストレスチェックの結果、高ストレス者として選定され、医師による面接指導が必要と
認められた労働者が申し出た場合、事業者は医師による面接指導を実施します。
必要な就業上の措置
面接指導を実施した場合、事業者は医師の意見を聴き、必要があると認めるときは、
労働時間の短縮や業務内容の変更など、適切な就業上の措置を講じます。
集団分析と職場環境の改善
ストレスチェックの結果を一定の集団ごとに集計・分析することで、
その職場にどのようなストレス要因があるのかを把握します。
その結果をもとに、業務量や仕事の進め方、職場内のコミュニケーションなどを見直し、
職場環境の改善につなげていきます。
なお、ストレスチェックの実施と、申出があった高ストレス者に対する医師による面接指導は
事業者の義務です。
一方、集団分析とその結果を活用した職場環境の改善は、努力義務とされています。
ストレスチェックの対象となる労働者
ストレスチェックの対象となるのは、原則として一般定期健康診断の対象者と同様の
「常時使用する労働者」です。
正社員だけでなく、契約期間や所定労働時間などの要件を満たすパートタイム労働者や
有期契約労働者なども対象となります。
また、派遣労働者については、派遣元事業者にストレスチェックの実施義務があります。
なお、事業者にはストレスチェックを実施する義務がありますが、
労働者には受検義務はありません。
制度を効果的なものとするためには、労働者が安心して受検できる環境を整え、
できるだけ多くの対象者に受検してもらうことが大切です。
ストレスチェックの結果は会社に知られる?
ストレスチェックを実施するうえで、特に重要なのが労働者のプライバシーの保護です。
ストレスチェックの個人結果は、実施者から労働者本人に直接通知されます。
事業者が個人のストレスチェック結果を取得するためには、本人の同意が必要です。
また、ストレスチェックの実施に関する事務を担当する人についても、
誰でも個人の結果を見ることができるわけではありません。
労働者が安心してストレスチェックを受けられるよう、個人情報を適切に取り扱う体制を
整えることが必要です。
50人未満の事業場にも義務化
これまで、ストレスチェックは労働者数50人以上の事業場に実施が義務付けられ、
50人未満の事業場については努力義務とされていました。
2025年の労働安全衛生法改正により、この事業場規模による要件が撤廃され、
2028年4月1日からは労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務付けられます。
50人未満の小規模事業場では、これまでストレスチェックの実施が努力義務でしたが、
義務化に向けて、外部機関への委託なども含めた実施体制を整えていくことが必要です。
なお、ストレスチェックの実施結果について、常時50人以上の労働者を使用する事業場には
労働基準監督署への報告義務がありますが、50人未満の事業場には報告義務はありません。
まとめ
ストレスチェックは、労働者自身のストレスへの気づきを促し、必要に応じて医師による面接指導
につなげるとともに、職場環境の改善に活用することで、メンタルヘルス不調を未然に防止する
ための制度です。
ストレスチェックを実施すること自体を目的とするのではなく、
その結果を労働者のセルフケアや職場環境の改善につなげていくことが重要です。
2028年4月からは、労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務付けられます。
特に小規模事業場では、実施体制や外部機関との連携など、事前に準備しておくことが必要です。
次の記事では、ストレスチェックを実施する前に事業者が行う準備について解説します。
参考資料
厚生労働省 ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策
-「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
-「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」
厚生労働省 関係法令等
-「ストレスチェック指針」

